海洋生態系工学研究室

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研究の概要

研究室の立ち上げ以降、流れ場・生態系結合数値モデルによるシミュレーションを中心として、環境影響評価や生態系予測の研究を行ってきました。また、電気化学的手法による環境改善の実験的研究にも取り組んできました。その後、当時千葉実験所(西千葉)にあった水槽設備を用いた実験をベースとして、2007年ごろより海洋食料生産システム、2013年ごろより海洋再生可能エネルギー利用システムの研究を開始しました。特に、柔軟構造物や動物も含めた水槽実験技術の研究を行っています。また、2016年ごろからは、海の中を観察するための安価で取り扱いやすいモニタリングシステムの研究にも取り組んでいます。海洋生物と海洋構造物との相互作用はまだ分からないことが多いですが、これを理解し、周辺環境と調和した海洋構造物まわりで新たな生態系を創造できないかと思案しています。さらに、海洋では、陸上での実験やシミュレーションでは予想できないことがたくさん起こりますので、実海域実験によって実用上の課題を理解、解決し、社会実装に近づけるよう努力しています。このように、海洋生態系と調和した食料・エネルギー資源などの利用に関する研究に取り組み、海洋利用におけるSDGs(Sustainable Development Goals)の達成やSociety5.0の実現を念頭に置き、食料・エネルギーの安全保障、少子高齢化地域の活性化と持続的発展等に貢献したいと考えています。
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過去の研究テーマについては、こちらをご覧ください。

各研究テーマの概要

海洋の食料生産工学

  世界では、食用魚介類の消費量が急増しています。粗食料ベースの食用魚介類消費量は、1965年には世界平均で年間で1人あたり10kgであったのが、近年は20kgを超えるようになりました。日本は、1990年頃に72kgまで増加しましたが、近年は50kgを下回るようになっています。1人あたりの食用魚介類消費量と世界人口がともに増加することにより、食用魚介類の需要がますます高まっています。1990年ごろまでは、世界の水産物生産量のほとんどは漁獲によってまかなわれていました。しかし、漁業資源の90%は、過剰に漁獲されているか、あるいは持続可能な範囲で最大限漁獲されていると考えられており、漁獲による生産を増やすことは難しくなっています。実際、1990年頃以降の食用魚介類の需要の増加は養殖によってまかなわれています。
 養殖は、海藻類や貝類などのように環境中の栄養塩や餌を摂取する無給餌養殖と、生簀等に稚魚を入れて餌や配合飼料を与えて育てる給餌養殖とに大別されます。生簀を用いた養殖は日本で開発され、現在の世界の生簀養殖の標準的な方法となっています。これまでは、養殖は主に沿岸の静穏な環境で取り組まれてきました。しかし、貝類や生簀を用いた魚類の養殖では、排泄物によって養殖海域が富栄養化する自家汚染が発生し、赤潮や貧酸素水塊による生産性の低下が起こりました。サーモン養殖が盛んなノルウェーやチリは、静穏で深いフィヨルド海域で養殖を行っています。水深が大きいため排泄物が広範囲に拡散しやすく、局所的な富栄養化は発生しにくいとされてきましたが、近年は赤潮による被害が報告されています。その他、寄生虫による病気の発生なども含め、沿岸養殖では多くの問題が発生していますので、世界では沖合養殖の実現に向けた取り組みが行われています。当研究室では、沖合養殖を可能とするための技術として、2007~2009年の農林水産省・産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業「沖合沈下式養殖―海中給餌システム開発―」事業で、有義波高4mまで耐えうる給餌用バージ船、2008~2012年の水産庁「クロマグロ養殖効率化事業」と2012~2015年の文部科学省東北マリンサイエンス拠点形成事業(新たな産業創成につながる技術開発)「東北サケマス類養殖イノベーション」で汎用的な高密度ポリエチレン枠の生簀の枠内構造を工夫した浮沈式生簀、2016~2018年の水産庁「環境IT技術を活用した新たな養殖技術開発事業」で深さ方向に任意に位置を変えられる可変深度型生簀などを開発しました1。しかし、世界では、従来の生簀とは異なる新たな養殖設備が開発されつつあり、今後も技術開発を進めていくとともに、生簀や設備の安全性、設計基準の整備などにも注力する必要があります2。また、洋上風力発電産業の進展に伴い、洋上風車と養殖生簀の連携が注目を浴びており、当研究室では浮体式洋上風車と生簀の相互干渉を調べています3。一方、沿岸域では、水温上昇、赤潮、寄生虫などの発生により生産性が低下しているため、従来の網ではなくて海水を通しにくい素材を用いて、低温で植物プランクトンや寄生虫の濃度が低い深層水を循環させながら養殖する海面半閉鎖循環式養殖システムの研究を実施しています4。さらに、これらの新しい養殖システムには、周辺環境を解析した上で5、養殖魚の排泄物を他の生物に吸収させて環境保全と生産性の向上を可能とする多栄養段階統合養殖(Integrated Multi-Trophic Aquaculture)を利用するなどして、持続可能な養殖業を実現する必要があります6。
 また、水産業に携わる労働者の高齢化も大きな課題です。漁業や養殖業は主に過疎地域で営まれていますが、漁業者や養殖業者の減少による生産性の低下、地域経済への影響が懸念されています。近年は、漁業者や養殖業者の視覚などをセンサーに置き換え、脳による判断をArtificial Intelligence(以下、AI)で行う取り組みが進められていますが、合わせて人力による作業を機械化する技術開発が必要不可欠です。これらの要素技術をバランス良く組み合わせることによって、次世代型の漁業、養殖システムが実現します。例えば、定置網漁業は、日本で長い歴史を持つ漁法の一つですが、魚群を収穫する際の揚網作業には多くの作業員を必要とします。早朝で危険な作業でもあるため、自動化が求められています。従来は、魚群が入った箱網の下側に浮力体を設け、給気によって浮上させる方式が開発されてきましたが、普及しておりません7。当研究室では、科学研究費補助金基盤研究Bの補助を受けて、箱網の内部に浮力体を設けて魚群を誘導する方式について研究し8、最終的には魚群のモニタリングシステムと組み合わせた資源管理型自動魚群誘導、収穫システムの開発を目指しています。

  1. Junbo Zhang, Hiroki Shimizu, Hirotaka Nakashima, Yoichi Mizukami, Takero Yoshida, Lili Liu, Daisuke Kitazawa (2020): Water-tank experiment and static numerical analysis of the mooring system of a controllable depth cage. Aquacultural Engineering 91, 102118.
  2. Shuchuang Dong, Sang-gyu Park, Daisuke Kitazawa, Jinxin Zhou, Takero Yoshida, Qiao Li (2021): Model tests and full-scale sea trials for drag force and 1 deformation of a marine aquaculture net cage. Ocean Engineering, 240, 109941.
  3. Kangnian Wang, Yunzhou Han, Shenyi Bai, Jinxin Zhou, Daisuke Kitazawa (2025): Experimental study on tensions between the floater and bag of a square closed flexible fish cage in regular waves. Ocean Engineering, 338, 121924.
  4. Qiao Li, Shenyi Bai, Shuchuang Dong, Jinxin Zhou, Daisuke Kitazawa (2024): Experimental and numerical investigation on the motion responses of a spar-type floating structure with aquaculture feeding systems. Journal of Marine Science and Engineering, 12(8), 1329.
  5. Jinxin Zhou, Daisuke Kitazawa, Takero Yoshida, Junbo Zhang, Shuchuang Dong, Qiao Li, Toyonobu Fujii (2020) : Numerical simulation of dissolved aquaculture waste transport based on water circulation around shellfish and salmon farm sites in Onagawa Bay, Northeast Japan. Journal of Marine Science and Technology 26, 812–827.
  6. Junbo Zhang, Daisuke Kitazawa (2016): Assessing the bio-mitigation effect of integrated multi-trophic aquaculture on marine environment through a numerical approach. Marine Pollution Bulletin, 110(1), 484-492.
  7. Daisuke Kitazawa, Junbo Zhang, Yoichi Mizukami, Yoshio Hirai, Takashi Hosokawa (2018): Experimental study on the motion of a flexible hose net used for fish-harvesting in a set net fishery. Journal of Marine Science and Technology, 23(3), 620-632.
  8. Qiao Li, Yue Li, Shuchuang Dong, Yoichi Mizukami, Jialin Han, Takero Yoshida, Daisuke Kitazawa (2021): Performance and feasibility study of a novel automated fish-harvesting device using a flexible hose net structure in set-net. Journal of Marine Science and Engineering, 9(9), 1015.

  • 生簀養殖と浮体式洋上風車の連携

    research

    沖合養殖を可能とするため、浮体式洋上風車を養殖生産のためのプラットフォームとして、風車近傍で生簀養殖を行うシステムについて研究しています。特に、浮体式洋上風車が生簀内の魚に配合飼料を与えるためのプラットフォームとなることが期待されます。浮体式洋上風車と養殖生簀が同時に存在する場合の安全性に関して、お互いの運動や係留力がどのように変化するかを調べています。本研究は、JST未来社会創造事業の日本型養殖システムおよび科学研究費補助金により実施しています。

  • 海面半閉鎖循環式養殖

    research

    近年、沿岸海域では水温上昇、赤潮、寄生虫などの発生により、生簀養殖の生産性が低下しています。そこで、海水を通す網ではなく、海水を通さない素材を生簀に用いて、低温でプランクトンや寄生虫の濃度が低い深層水を循環させて養殖するシステムについて研究しています。水槽模型実験等によって生簀の変形やシートにかかる荷重を評価して、実海域でサブスケールモデルを用いた試験を行いました。本研究は、JST未来社会創造事業の日本型養殖システムにより実施しています。詳細はこちらをご覧ください。

  • 定置網漁業の自動魚群誘導システム

    research

    定置網漁業の省力化を目指して、自動魚群誘導システムの研究開発を実施しています。現在、定置網に入った魚を収穫する作業は、多くの人員を必要としており、また早朝の危険を伴う作業となっております。そこで、可撓性ホースを結合して作成したホースネットを箱網内に入れます。次にホースネットの一端から給気し、浮上させることによって魚を金庫網や魚捕り部に誘導します。陸上で入網状況を確認し、資源管理に配慮しながら、遠隔操作で収穫することが最終目標です。詳細はこちらをご覧ください。

  • 養殖環境のシミュレーションと複合養殖による環境保全

    research

    日本の閉鎖性海域の養殖場では、陸域からの栄養分の過剰な負荷、あるいは養殖魚からの排泄物の負荷(自家汚染)によって赤潮や貧酸素水塊が発生し、養殖事業に影響を及ぼしています。養殖事業の環境容量を把握するために、養殖場周辺の物質循環の数値シミュレーションを行っています。また、養殖場の環境を保全する方法として、排泄物を別の生物に摂取させて、環境保全と生産性の向上を両立させる複合養殖の可能性を検討しています。詳細はこちらをご覧ください。

海洋エネルギー

 現在、洋上風力発電を中心として、海洋における再生可能エネルギーの利用への期待が高まっています。海洋には、洋上風力、波力、潮流、海流、温度差、塩分差、潮位などの様々な再生可能エネルギー資源がありますが、当研究室では2013年頃より波エネルギーの利用に焦点を当てた研究を開始しました。単機の出力はあまり大きくありませんので、地産地消型の利用を念頭に置いています。特に、波エネルギーを収穫して揺れない船の研究では、揺れを抑制するためにエネルギーを消費するのではなく、波からエネルギーを受け取って、動揺を抑制しつつ推進や動力のエネルギーとして活用したいと考えており、自然エネルギーを利用して快適、自由に海洋に出かけることができる小型船の実現を目指しています1-2。洋上風力に比べて、波力発電は世界的にも商業化している事例は少ないですが、高効率化を図り、社会へ普及させていきたいと考えています。
 一方、新たに海洋再生可能エネルギー設備を海域に設置する際には、事前に環境影響評価を行う必要があります。また、環境や漁業への影響調査を通じて、先行利用者との海域利用調整が必要になります。当研究室では、2000年代に超大型浮体式構造物の環境影響評価に関する研究を実施しておりましたが、2010年から環境省風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会に参加したこと、2011年から生産技術研究所で海洋エネルギーによる東北復興研究グループが立ち上がったことを契機として、洋上風力発電の環境影響評価に取り組むこととなりました。
 洋上風力発電の環境影響評価項目には、バードストライク、騒音、景観など様々な項目があります。海洋再生可能エネルギー施設が漁業に及ぼす影響を調べる方法としては、施設近傍で実際に刺し網漁、トロール漁などを行う方法、水中ビデオカメラや音響カメラを用いて海生動物の行動を把握する方法、海生動物にセンサーを取り付けて行動を計測するバイオロギング、数値シミュレーション等があります。当研究室では、岩手県からの協力を得て、2015年より水中ビデオカメラを用いた海洋生物モニタリングシステムの開発を行ってきました。当初は、漁船で水中ビデオカメラを搭載した容器を曳航して撮影し、魚探による情報を合わせて魚群の種類や量を把握するシステムを検討しました3。次に、円柱容器に円周型魚眼カメラを取り付けて、容器に設けた水中ポンプでモニタリングシステムを移動できるようにしました。魚の模型などを用いて、水中ビデオカメラによる視認性も確認しました4。その後、動力として水中ポンプの代わりにスクリューを使用することになり、容器の形状も半球形状となりました。さらに、平塚市漁協の協力を得て、株式会社東京久栄と共同で双胴式無人艇Multi Mover Catamaran (MMC)の開発を行いました。MMCは、2本のエアチューブフロートとそれを繋ぐラック部、2つのスクリューから構成されています。スクリューの推力で前進、後退でき、旋回性能が良いことが特徴です。排気したエアチューブフロートとラックは小さく折りたたむことができますので、3辺合計で160cm程度のケースに収納して持ち運びできます。使用時には、自転車用のエアポンプを使うなどして容易に組み立てることができます。MMCは、水中構造物の日常点検にも用いることができますが、今後は海洋再生可能エネルギー施設周辺の付着生物や魚群のモニタリングに用いる予定です。機械学習等を用いて得られた映像を解析し、海洋再生可能エネルギー施設の魚礁効果や海洋生物への影響を明らかにしたいと考えています。
 一方、2012年から経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー等共通基盤整備促進事業「海洋エネルギー発電システムの海洋利用の適合性評価手法の開発」に参画したことを契機として、国際エネルギー機関・海洋エネルギー実施委員会・環境影響評価部会のメンバーとして活動しながら、潮流・海流発電や波力発電、温度差発電の環境影響評価について検討しています。特に、潮流発電や海流発電の環境影響評価項目としては、水中音の影響、電磁場の影響、魚礁効果、流れ場の変化の影響、海生動物の係留ロープへの巻き込みなどが挙げられていますが、海洋動物の潮流・海流発電タービンブレードへの衝突は、洋上風力発電におけるバードストライクと同様に、最も懸念されているリスクの一つです。海生動物の衝突を予測する方法として、数値モデル、水槽実験、現地観測があります。数値モデルは、水力発電のタービンブレードへの魚の衝突を対象として構築されてきましたので、潮流発電や海流発電の場合とはタービンブレードの大きさやタービンブレードまわりの水域の広がりが異なります。現地観測は衝突を把握するための最も確実な方法ですが、流れが速い場所に水中ビデオカメラや音響カメラを設置することは困難を伴い、労力とコストがかかります。そこで、当研究室では、現地観測を支援する方法として、まずタービンブレードまわりの動物の行動を理解するための水槽実験を行っています。このような水槽実験は世界で数例実施されておりますが、当研究室では海生動物のタービンブレードへの衝突に関する水槽実験の相似則を検討しています。最初の取り組みとして、水槽と実海域とでタービンブレード回転時の先端の速度と海生動物の最大遊泳速度との比が概ね一致するように考えました。タービンブレードの回転時の先端の速度は、周辺流速から設計された周速比を用いて求めることができます。海生動物の最大遊泳速度は、概ね体長に比例するとの実測結果があり、海生動物が泳ぐときのストローハル数、尾ひれの振動数や振幅を仮定すると、体長から予測することができます。実海域に設置するタービンブレードと近傍の海生動物の体長を仮定すると、水槽実験で使用すべき魚が決定されます。これまでに、タービンブレードの回転速度を変化させながら周辺の実験魚の行動を観測したところ、魚はタービンブレードの中心よりも周辺部で行動する傾向があり、タービンブレードへの衝突はほとんど見られませんでした5。3種類の魚を用いて実験を行った場合も、魚の種類によって行動の様子は異なりますが、タービンブレードを避けて行動しているようでした6。また、明るい条件と暗い条件で実験してみたところ、暗い条件によって衝突のリスクが高まる様子は見られませんでした7。諸外国で実施された実験も含めて、狭い水路内でタービンブレードを回して魚の行動を観察した実験であるにもかかわらず、これまでタービンブレードへの衝突はほとんど確認されていません。ただし、タービンブレードの回転に伴う海水流動や乱流状態の変化、水中音の発生、電磁場の発生、明暗条件、係留ロープの存在などの環境要因と海生動物の行動との関係はほとんど明らかにされていません。これらの環境要因を水槽内で再現することはとても難しいですが、今後は一部でも明らかにできるようにして、実海域で観測された海生動物の行動の理解に役立てられればと考えています。

  1. Jialin Han, Daisuke Kitazawa, Takeshi Kinoshita, Teruo Maeda, Hiroshi Itakura (2019): Experimental investigation on a cabin-suspended catamaran in terms of motion reduction and wave energy harvesting - by means of a semi-active motion control system. Applied Ocean Research, 83, 88-102.
  2. Jialin Han, Teruo Maeda, Hiroshi Itakura, Daisuke Kitazawa (2021): Experimental study on the wave energy harvesting performance of a small suspension catamaran exploiting the maximum power point tracking approach. Ocean Engineering, 243, 110176.
  3. Daisuke Kitazawa, Yoichi Mizukami (2016): Combined optical and acoustic monitoring of fishes in the demonstration site of marine renewable energy development. Proceedings of the ASME 2016 35th International Conference on Ocean, Offshore and Arctic Engineering, OMAE2016-54852(CD-ROM), 6 pp.
  4. Takero Yoshida, Yoichi Mizukami, Jinxin Zhou, Daisuke Kitazawa (2019): Horizontal visibility of an underwater low-resolution video camera modeled by practical parameters near the sea surface. Ecological Informatics, 52, 122-130.
  5. Junbo Zhang, Daisuke Kitazawa, Sayuri Taya, Yoichi Mizukami (2017): Impact assessment of marine current turbines on fish behavior by experimental approach based on similarity law. Journal of Marine Science and Technology, 22(2), 219-230.
  6. Takero Yoshida, Jinxin Zhou, Sanggyu Park, Hiroaki Muto, Daisuke Kitazawa (2020) :Use of a model turbine to investigate the high striking risk of fish with tidal and oceanic current turbine blades under slow rotational speed. Sustainable Energy Technologies and Assessments. 37,100634.
  7. Takero Yoshida, Daigo Furuichi, Benjamin Williamson, Jinxin Zhou, Shuchuang Dong, Qiao Li, Daisuke Kitazawa (2021): Experimental study of fish behavior near a tidal turbine model under dark conditions. Journal of Marine Science and Technology, 27, 541–548.

  • 生態系モニタリング装置:MMC

    research

    海洋再生可能エネルギー設備を設置する際には、海域利用の調整が必要となりますが、その際には設備の設置により周辺の生態系がどのように変化するかを調べる必要があります。設置型の水中カメラはレンズに生物が付着することなどによって長期的なモニタリングが難しいですし、AUVやROVを用いた調査は費用がかかります。そこで、デバイス周辺に蝟集した生物を観察するために、安価で可搬式の双胴式無人艇Multi Mover Catamaran (MMC)を開発しました。詳細はこちらをご覧ください。

  • 潮流発電タービンへの魚の衝突

    海洋再生可能エネルギー設備を設置する際には、環境影響調査が必要となります。潮流・海流発電の影響項目では、鳥類が風力発電のタービンブレードに衝突するのが懸念されているのと同様に、海生動物とタービンブレードとの衝突が懸念されていますので、水槽実験によってそのリスクを調べています。また、潮流・海流発電が周辺の物理環境に及ぼす影響についても、数値シミュレーションによって調べています。詳細はこちらをご覧ください。

  • 波エネルギーを収穫して揺れない船

    research

    波エネルギーを収穫して動揺を抑制する小型船を開発しています。この小型船は、キャビン、サスペンション、フロートから構成され、キャビンとフロートの相対運動から波エネルギーを収穫することができます。また、サスペンションによってキャビンの動揺を抑制します。波エネルギーの収穫とキャビンの動揺抑制の割合は自由に設定することが出来ます。全長3.3mの実験船を製作し、山口県油谷湾、神奈川県平塚沖で実海域実験を実施しました。将来的には漁船の省エネ化、作業船、プレジャーボート、観光船などの動揺抑制に応用したいと考えています。詳細はこちらのページとこちらをご覧ください。

水槽設備を活用した研究

 小型造波曳航回流水槽を用いていくつかユニークな研究を行ってきました。小さな水槽ですので精度の高い実験はできませんが、様々なアイデアを気軽に試すことができますし、動物を用いた実験を行うこともあります。概念的な実験が多いですが、いずれの研究も査読付きの論文集に掲載されています1-2。

  1. 森田雅子, 田邊勝, 深谷惇志, 北澤大輔, 水上洋一 (2016): 海域での簡易的な送水技術の一考察. 沿岸域学会誌, 29(3), 45-56.
  2. 吉田毅郎, 菅野聡太, 北澤大輔, 金野祥久(2018):密集浮体群中の単独浮体に作用する流体力のモデル化. 日本船舶海洋工学会論文集, 27, 9-14.

  • 耐氷船への氷荷重と流体力の分離

    research

    耐氷船の設計においては、氷荷重を流体力を個別に評価する必要があります。従来は、水面に氷を浮かべて船を曳航したときの抵抗から、開水域での船の抵抗を差し引くことで氷荷重を推定していましたが、この方法は正確ではありません。そこで、耐氷船表面からある間隔をあけて金網を設置し、氷が船体表面に直接接触しないように曳航することで、船体への流体力を計測する方法を提案しています。

  • 構造物と干渉する氷片群に作用する流体力の把握

    research

    地球温暖化とともに北極海航路の可能性が広がり、砕氷船の需要が増しています。しかし、砕氷船にかかる力には、不明な点が多いです。たとえば、砕氷船が氷から受ける力を計測する場合は、砕氷船が氷中を走る場合と水中を走る場合との力の差を求めます。しかし、実際には、砕氷船が氷中を走る場合は、砕氷船はまず氷を押しのけ、さらに氷は水を動かします。これらの過程を正確に把握するため、個々の氷が流体に及ぼす力を計測しました。

生態系シミュレーション

 海洋構造物を設置する場合は、事前に環境影響評価を行う必要があります。また、より大規模な問題として、世界の湖沼や沿岸海域では、富栄養化や温暖化による環境問題が起こっています。そこで、水中で起こっている様々な物理学、化学、生物学的現象のメカニズムを解き明かすために、流れ場-生態系結合数値モデルの開発を行っています。本研究は研究室の立ち上げ当初から行っており、東京湾、琵琶湖、霞ヶ浦、カスピ海、養殖池等に適用して、汚濁物質の流入や気候変動が生態系に及ぼす影響を予測するとともに、環境保全方法の検討とその効果の評価を行ってきました1-6。ただし、流れ場モデルは実際の環境影響評価に用いられているのに対し、流れ場・生態系結合数値モデルは十分に環境影響評価等に活用されているとは言えません。今後は、観測データを用いた機械学習によってモデルパラメータの同定を容易にするなど、社会実装に向けた取り組みが必要とされています。

  1. 北澤大輔, 藤野正隆, 多部田茂(2002):超大型浮体式構造物の海洋生態系への影響に関する研究. 日本造船学会論文集, 192, 277-287.
  2. Daisuke Kitazawa, Shigeru Tabeta, Takayoshi Kato, Piet Ruardij (2008): A comparative study of the biomass-based and individual-based models of blue mussels. Ecological Modelling, 215, 93-104.
  3. Daisuke Kitazawa, Jing Yang (2012): Numerical analysis of water circulation and thermohaline structures in the Caspian Sea. Journal of Marine Science and Technology, 17, 168-180.
  4. Md. Nazrul Islam, Daisuke Kitazawa, Naoki Kokuryo, Shigeru Tabeta, Takamitsu Honma, Nobuyuki Komatsu (2012): Numerical modeling on transition of dominant algae in Lake Kitaura, Japan. Ecological Modelling, 242, 146-163.
  5. Daisuke Kitazawa, Jing Yang (2012): Numerical analysis of water circulation and thermohaline structures in the Caspian Sea. Journal of Marine Science and Technology, 17, 168-180.
  6. 北澤大輔, 安部諭, 半場藤弘, 加藤信介 (2012): 閉鎖性水域における汚染源特定のためのリバースシミュレーション. 日本船舶海洋工学会論文集, 15, 157-166.

  • 気候変動による琵琶湖の全層循環欠損予測シミュレーション

    気候変動によって気温が上昇し、琵琶湖では2018年度と2019年度に冬季の鉛直循環が深層に到達しない全層循環の欠損が発生しました。全層循環が欠損すると、深層に酸素が供給されず、深層水が貧酸素化し、生物に負の影響を及ぼします。そこで、流れ場・生態系結合数値モデルを用いて、将来の気候変動シナリオに基づいた予測シミュレーションを行い、全層循環の欠損を予測するとともに、水質を改善する費用を調達するための環境リスクファイナンスへの応用を検討しています。

  • 戸田御浜再生プロジェクト

    research

    戸田御浜は、昭和30年代には豊かな生態系の浜で、多種の貝類が多数いましたが、川の氾濫で泥が大量に入ったり、砂流出防止の堤防2本、離岸堤を作ったり、山砂を入れて浜を拡げたりしたことによって貝類が激減しました。そこで、戸田御浜の生態系を種の数と個体数の両面で豊かさを取り戻すことを目的として、現地調査や改善手法の研究を実施しました。詳細は、こちらのページをご覧ください。

  • 東京湾の超大型浮体式構造物が周辺環境に及ぼす影響

    research

    超大型浮体式構造物(メガフロート)は、海上都市、滑走路などに利用されることが期待されていますが、事前に周辺環境への影響を評価しておく必要があります。海上に浮かんでおりますので、埋め立てに比べると流れ場への影響は小さいと予測されますが、メガフロートの下部には巨大な影ができますので、一次生産や水質に影響を及ぼす可能性があります。そこで、メガフロートの周辺環境への影響を予測するための流れ場・生態系結合数値モデルを開発しました。その結果、東京湾に設置されたメガフロートでは、底面への付着生物による水質変化が示されました。詳細はこちらをご覧ください。

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