中間フロートまたは生簀の浮力を変化させることで、深さ方向に任意に位置を変えられる可変深度型生簀を開発しました。通常、生簀は浮力あるいは沈力を持ち、単体としては浮上するか沈降するかの2つの状態をとります。しかし、中間フロートを用いた係留システムにでは、中間フロートの浮力、生簀の沈力や係留システムの形状に依存する係留ロープの張力が釣り合う位置で、生簀が静止します。高波、高水温、赤潮、貧酸素水塊などの自然環境の変化に対応して、生簀の鉛直方向の位置を調節できます。宮城県女川湾で実証実験を実施しました。詳細はこちらをご覧ください。
ポリエチレン枠で構成される一般的な生簀を対象として、ポリエチレンパイプ内の可撓性ホースへの給排気によって生簀を確実に浮沈させることができます。宮城県女川で実証実験を実施しました。この海域ではギンザケが養殖されていますが、ギンザケは21℃以上の日が続くと死んでしまうため、表層で飼育する場合は7月を目処に出荷を終える必要がありました。浮沈式生簀を用いて水温が低い深度10~20m付近でギンザケを養殖することにより、養殖期間の長期化と出荷調整に成功しました。詳細はこちらをご覧ください。
世界では、高密度ポリエチレンパイプを用いた生簀が普及しています。この生簀を環境が厳しい海域で用いる場合は、浮沈機能を持たせる必要があります。ポリエチレンパイプ内で空気と海水を置換することによって生簀を浮上、沈下させることができますが、ポリエチレンパイプにはたわみがあるため、十分に置換することが出来ません。そこで、ポリエチレン枠の内部構造を工夫して海水と空気の置換効率を高めることによって、大型浮沈式生簀を開発しました。高知県柏島等でマグロ用浮沈式生簀として実海域実験を実施し、生簀を沈下させると高波にも耐えうることを実証しました。海外でも導入が進んでいます。詳細はこちらをご覧ください。
開放的な海域で沈下した生簀に自動で給餌を行うバージ船の開発を行いました。台風にも耐えられる仕様とすると、係留システムなどで高価となります。そこで、有義波高が4mを超える場合は、バージ船を港内に避難させる方式としました。このバージ船を用いた自動給餌システムによって、これまで給餌できなかった有義波高約1.5~4mのときも給餌できるようになりました。宮崎県・鹿児島県の志布志湾のブリ養殖場で実証実験を実施しました。
本研究会は、東日本大震災の後に立ち上がりました。陸と海を隔てた従来の発想を超え、分野融合的、領域横断的に「海洋空間と海洋再生エネルギーを利用した都市再生」の途を探ることによって津波防災に強い、低炭素型都市・地域のあり方を示そうとした研究会です。海洋エネルギーに関連する研究者のみでなく、建築学やその他幅広い分野の研究者が集まり、シンポジウム等を通して議論を重ねました。詳細はこちらのページをご覧ください。
有明海では、貧酸素水塊が広範囲に発生し、貝類への影響が問題となっています。本研究では、貧酸素化した底層水に、安価で漁業者が実施しやすい方法で酸素を供給するシステムを開発しました。具体的には、可撓性ホースを斜めにして曳航することによって、表層の酸素を含んだ海水を底層に供給します。貧酸素水塊中では、貝類は殻を閉じて酸素が供給されるまで待機していますが、開発された方法によって、一時的に酸素を得て、息継ぎを行うことができます。詳細はこちらをご覧ください。
水域で汚染物質を検知した場合、汚染源を速やかに特定し、対策を講じる必要があります。本研究では、支配方程式を時間的に逆に解くリバースシミュレーションを用いました。拡散項を時間的に逆に解く際に発生する数値計算の不安定を抑制する方法を検討しました。琵琶湖での汚染発生を想定して、汚染源特定のための数値シミュレーションを実施しました。詳細はこちらをご覧ください。
霞ヶ浦では、藻類の種の変化や毒素を持つ有害藻類の発生が問題となっています。そこで、流れ場・生態系結合数値モデルで複数の種の藻類を考慮し、北浦で起こった藻類の種の変化の原因を探りました。また、流れ場・生態系結合数値モデルに毒素モデルを導入し、毒素を持った有害藻類の発生をシミュレーションによって再現するとともに、有害藻類が発生する環境条件について考察しました。
琵琶湖では、近年、気候変動による全層循環の欠損が発生しましたが、鹿児島県にある池田湖では、以前から全層循環の欠損がよく見られます。具体的には、1980年代後半から全層循環が発生しない状態が続き、2010年代に一旦全層循環が起こりましたが、再度全層循環が発生しない状態が続いています。そこで、流れ場・生態系結合数値モデルを用いて水質再現シミュレーションを行い、全層循環が発生しない原因の解明に取り組んでいます。
カスピ海内部および周辺では、油田・ガス田の開発が活発化しています。一方で、カスピ海で油汚染が発生した場合、キャビアを生産するチョウザメなどの生物に及ぼす影響が懸念されます。そこで、油田から油汚染が発生した場合に油の拡散範囲を予測するために、物理環境の数値シミュレーションを行いました。南北方向の塩分、水温分布によって駆動される循環流などが再現されました。詳細はこちらをご覧ください。
エビ養殖は、東南アジアを中心として展開されています。エビは、広さ1ha程度、深さ1~2m程度の池で3~4ヶ月飼育された後、出荷されます。エビ養殖池では、エビの排泄物等によって溶存酸素濃度が低下するため、攪拌パドルを用いて酸素を供給するとともに、池底のヘドロを池の中央に集めて排出しています。そこで、攪拌パドルの設置数や配置を効率化するため、流れ場・生態系結合数値モデルによるシミュレーションツールを開発しました。詳細はこちらをご覧ください。
付着生物は、人工基盤上に積み重なって生息し、最大で数10cmの厚さとなることがあります。付着生物が周辺の水質に及ぼす影響を明らかにするためには、活動している生物と活動していない生物とに分けて考える必要があります。そこで、主な付着生物であるムラサキイガイを対象として、群衆全体の酸素消費速度等を計測することによって活動しているムラサキイガイの割合を推定するとともに、空間と餌をめぐる競争モデルを開発し、ムラサキイガイ群衆が物質循環に及ぼす影響を予測しました。詳細はこちらをご覧ください。
水質環境保全の手法の一つとして、電気化学的手法が注目されています。電気分解によって発生した酸素は貧酸素水に供給され、水素はエネルギーとして利用されます。富栄養化、赤潮の原因となる無機態窒素化合物の分解も可能です。電気分解では、一般に金属製の電極が用いられますが、使用中に消耗し、イオン化した金属が水生生物に蓄積する危険性があります。そこで、消耗を抑制するために、炭封入型の電極や、誘電体電極の開発を実施しました。また、電気化学的手法を用いた漁網への付着生物防止に関する研究も実施しました。
消耗しない電極を開発するために、安価な炭をセラミックなどで覆う炭封入型電極の開発を行っています。炭を封入しないで電気分解を行うと、炭の粒子が少しずつ拡散し、水が黒く濁ってしまいます。炭封入型電極を用いた電気分解によって、アンモニア態窒素などの分解特性を調べ、汚濁水の処理への適用可能性について検討しています。将来的には、酸素の供給や水素の生成にも適用できればと考えています。詳細はこちらをご覧ください。
漁網には多くの生物が付着し、その清掃には多くの労力がかかります。防汚塗料が用いられることも多いですが、環境への影響が懸念されますし、持続期間もあまり長くありません。そこで、漁網にチタン線を編み込んで、電気分解によって微量の次亜塩素酸を発生させ、漁網への生物付着を防止する方法を調べています。詳細はこちらをご覧ください。